東京ヤクザ vs 関西ヤクザ。ライター対決の巻。

小説

 3か月前から始めた50本の記事執筆がようやく終わりに近づいた。

 chatworkで担当のM女史にいつもの記事納品の報告をした際にちょっと営業しようと、「他に案件あれば、今回のテーマに限らずどしどし書きまっせ云々」と追伸。

 うまく『じゃ急ぎのこの数本とりあえず』と来たらしめたもの。

 女性らしい心遣いで、心優しくも乗せるのが上手いMさん。彼女のおかげでここまでこれた。

 ネタが枯渇して途中で投げ出すんじゃないかと当の本人が一番心配してたんだ。最後まで乗り切れたのは、Mさんのおかげ。

 Mさんは5分以内即レス命の方。投げたボールを瞬間で投げ返してくる。投げたこちらはその姿勢のまま返球を待ち構える格好になり、行動が即決まる。だからインターバルが生まれず、長い期間中、集中力が途切れない。

 さすがだ。

 だのに、今回、なかなか返事がない。こんなことは今までなかった。といっても、まだ1時間にもなろうとしていないが…

 どうしたん? 何かあったん? 事故か。急病か。

 2時間過ぎた。

 なんて長い時間やろ。何かせずにはいられない。いてもたってもたまらず、とにかく様子を探ろうと、過去の別件をわざわざ蒸し返してchatworkに書き始めた。

 すると、まるでそれを見ていたかのように返信マークが点灯。

 「それでは今後の企画相談をしたいのでZoomでオンライン面談を来週あたりに」と回答が。

 やったー! これって長期契約の話じゃないか!? 時間がかかったのは、きっと上長と相談していたのだろう。

 よーし、ウデが鳴るわ。オンラインとはいえ、この仕事で対面での面接っていうのは初めてや。学生時代の就活を思い出すなあ。そういえばあの頃は全能感があったわい…。

 

 その頃、件の東京本社では…

 「課長! 困りました。きくちよKGさんから、仕事くれとの打診が」

 「なに? ついに来たか。君、早く断っちまいなよ。引き延ばすと厄介だ」

 「どう返せばいいんですか! あの方きっと画面睨んで返事を待ち構えていますよ。早くしないと」

 「もうおしまいね。そういえば済む話じゃないか」

 「chatworkでもあの方、時々関西弁が混じってなんだかコワいんです。だからアタシ、話が長引かないように即レス・持ち上げでずっとがんばってきたんです」

 「ご苦労だったな。急ぎの案件でなかったら、50件もトーシローに投げるようなことはしなかったんだが」

 「課長の出番です。この前もそのコワモテ顔で相手を退散させたじゃないですか。関西弁にはその方法しかアタシ思いつきません」

 「喜んでいいのか悩むべきなのかわからんが、よし、Zoomの面談アポをセッティングしてくれたまえ。私が相手しようじゃないか」

 「課長、助かります!」

・・・・

 さて、東京ヤクザが勝つか、関西ヤクザが勝つか。

 続きはいつか。

きくちよKG|note
編集ライター。コピー/コラム/インタビュー/取材/文芸評etc。自分にしか書けないことを誰にもわかるように書く。ポップなPR調から、アイテムを生活ストーリーで語るコラム風、公式広報文体まで。分子栄養学。ソバキュリ。ちょいモード系。

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