思想・哲学 ブンガクって逃避? それを聞き捨てならない人、それが当たり前の人。 人々の最後列で丹念に落とし物を拾っていく いつだったか作家の高橋源一郎さんが講演で、「文学は逃避だ」と、苦笑しつつあきらめ顔で叫んでいたのを聞いて、ぼくは哀しい気持ちが湧き起こりながらも、同時に「やっぱりな」という思いも抑えることができませ... 2025.06.10 思想・哲学
エッセイ ピュアな出来損ない。偉大なるネーミング「ゆるキャラ」に宿る体温の正体。 ダサくうっとおしい。でも捨ておけない 物産展などで、所在投げに突っ立っている。 遠慮がちに手など振ったりしている。 小さな子どもが時おり興味を示す以外、遠くからチラと見るぐらいで、近づく人はいない。 なんかへんなものがいたな。 その程度の... 2025.06.05 エッセイ
エッセイ 「知る」はサミシイ。「驚く」はいつもワクワク。だから「不思議をただ驚いていたいんだ」 国木田独歩。 「びっくりしたいというのが僕の願いなのです」「宇宙の不思議を知りたいという願ではない、不思議なる宇宙を驚きたいという願です!」「死の秘密を知りたいという願ではない、死という事実に驚きたいという願です!」国木田独歩『牛肉と馬鈴薯』存在理由が欲... 2025.06.01 エッセイ
エッセイ 川上未映子 「私は、ゴッホにゆうたりたい」をネイティブで朗ぜる幸せ。 私は、ゴッホにゆうたりたい。めっちゃゆうたりたい。今はな、あんたの絵をな、観にな、世界中から人がいっぱい集まってな、ほんですんごいでっかいとこで展覧会してな、みんながええええゆうてな、ほんでな、どっかの金持ちはな、あんたの絵が欲しいってゆう... 2024.03.07 エッセイ
日本映画 「Shall we ダンス?」 名もなきダッセーたちがカッケーたちになるとき。 「Shall we ダンス?」周防正行監督(1995年) 役所広司、草刈民代、原日出子、竹中直人、渡辺えり子 周防正行監督が一貫してこだわるものが「ダサい」もの。 そこで当時彼が嗅ぎつけたのが「社交ダンス」。 でも、ただ逆張りしてダサいもの... 2024.02.20 日本映画
TVドラマ 山田太一「シルバーシート」 世のスネ夫・スネ子へ。老兵たちの果てのないスネっぷりを見よ。 年を取った人間はね、あんた方が小さい頃、電車を動かしていた人間です踏切を作ったり、学校を作ったり、米を作っていた人間だあんたがころんだ時、起こしてくれた人間かもしれない(TVドラマ 男たちの旅路 第3部「シルバーシート」)◆土曜ドラマ 山田... 2024.02.01 TVドラマ
ノンフィクション 異世界に行きつ戻りつして織り上げる。怪談ノンフィクション・ファンタジー。 ■「もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら」工藤美代子/角川文庫 工藤美代子さんは、吉田茂、笹川良一、昔のラフカディオ・ハーンなどを独特の視点で取り上げてきたノンフィクション作家。 この方の書く文章ってほんと、ほれぼれして憧れてしま... 2024.01.26 ノンフィクション
エッセイ 「これで問題ないですか?」 彼はなおも無言でこちらを見つめるばかり。 その家は石段を三十段ばかり登ったところにあったので、荷物が多い日は気合がいります。 その日も、両手に積み上げて抱えてきた荷物をひとまず足元に置いて、いつものように門柱の呼び鈴を押しました。 門柱は古い石垣作り。隙間に積もったわずかな土... 2024.01.16 エッセイ
小説 ピンポン恐い。小2の夏 子どもにとってはコーフンの夏休み突入も、十日も過ぎれば満喫ぐあいも冷めてきて、ヒマを持て余しだします。 あれはぼくが小2の頃、セミも鳴き疲れるそんな夏の午後のことでした。 毎日のように通った小学校プール開放もその日は休み。 昼にそうめんを... 2023.10.24 小説
小説 梨木香歩『家守綺譚』 自分の内面を掘り続けても、閉じたナルシズムが待っているだけ。その先に出口はない。 自分の内面を掘り続けても、閉じたナルシズムが待っているだけ。その先に出口はない。 2023.10.17 小説