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ピンポン恐い。小2の夏

 子どもにとってはコーフンの夏休み突入も、十日も過ぎれば満喫ぐあいも冷めてきて、ヒマを持て余しだします。 あれはぼくが小2の頃、セミも鳴き疲れるそんな夏の午後のことでした。 毎日のように通った小学校プール開放もその日は休み。 昼にそうめんを...
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梨木香歩『家守綺譚』 自分の内面を掘り続けても、閉じたナルシズムが待っているだけ。その先に出口はない。

自分の内面を掘り続けても、閉じたナルシズムが待っているだけ。その先に出口はない。
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「片腕」川端康成 「片腕を一晩お貸ししてもいいわ…」 川端文学のパワフル&誠実なるも危うい美。

「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。そして右腕を肩からはずすと、それを左手に持って私の膝に置いた。
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東京ヤクザ vs 関西ヤクザ。ライター対決の巻。

 3か月前から始めた50本の記事執筆がようやく終わりに近づいた。 chatworkで担当のM女史にいつもの記事納品の報告をした際にちょっと営業しようと、「他に案件あれば、今回のテーマに限らずどしどし書きまっせ云々」と追伸。 うまく『じゃ急ぎ...
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いつか、はっきりさせねばなるまい。村上春樹の正体。

 いつかはハッキリさせねばなるまいな、と思っていることが二つあって。 この山越えのわが通勤路にある活きのいい看板。 以前は「西宮甲山乗馬クラブ」と矢印だけのフツーの看板だったのに、10年前に、このケンカ腰看板に変わった。 なにこの挑戦的な物...
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生き残り。

 小学二年の終わりに引っ越してしまうまで、近所の友だちとの遊び場といえば自宅アパート前の道路とその角にある資材置き場の砂山でした。 ある月曜日の早朝のこと、ぼくは前日にやっと買ってもらったばかりのブリキの消防ハシゴ車を抱えて、砂山に向かいま...
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ハルキが犯した2つの大罪。

 先日の読書会コミュニティで、思わずイヤなことを思い出してしまい、頭から離れない。 ハルキのこと。 世界の村上春樹さん。 だいたい、純文学小説1作品だけでですよ、数百万部出るなんて。数は「人間失格」に匹敵、それを数ヶ月で達成したりする。 そ...
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「うまくいっている」時、恐るべき退屈の大穴が待ち受けている。沢木耕太郎編「心に残る物語ー日本文学秀作選 右か左か」

 物語を書くっていうのは、とつとつと湧き出すように出てくる言葉を、湧き出すまま書きつけているのだと思っていました。 そのうち、小説といってもそれは書き手が意図する入念なる計画の下に数々のパーツを組み合わせて作りだした「言葉の建物」だと知って...